T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

162・捨てる神あれば拾う神あり

今年も、企画CDの準備やら、連載執筆やら、お家の下僕やら(笑)していたら、もう半月も経過していました。

今日は、近々発売されるCDについて、ちょっとお話しします。

実は、私、1年半ほど前の2010年8月頃にこんなコンピレーションを企画していて、2010年末に発売される方向で進んでいました。(もう発売されることがないので、公開します。どこかのメーカーから類似品が出ていたら教えて下さい。)

『天国へのラブレター』 (2000円)2010年12月発売予定(でした)
1.会いたい / 沢田知可子 
2.ロード / 虎舞竜 
3.ひだまりの詩 / Le Couple 
4.旅立つ日〜完全版 /JULEPS 
5.母賛歌 / Metis 
6.涙そうそう / BEGIN 
7.あの人の手紙 / かぐや姫 
8.ロード〜第二章 / 虎舞竜 
9.精霊流し / グレープ 
10.千の風になって / 新垣 勉 
11.さくら / 高野健一 
12.この星空の彼方 / 岡本真夜 
13.はるじょおん ひめじょおん –野生の花- / イルカ 
14.ロード〜第三章 / 虎舞竜 
15.マイ・メモリー冬のソナタ倉本裕基

それまで“涙”をテーマにしていたコンピは多数出されていましたが、その涙が“友との別れ”“恋人との別れ”“単なる恋煩い”そして“愛する人との永遠の別れ”など、ごちゃ混ぜになっている感じがして、自分としてはずっと違和感を抱いていました。例えば、失恋ソングを聞きたいのに、そこに追悼歌が一緒になっていたら、なんだかこちらが申し訳なく思ったり、またその逆の気分も然り。そんなこともあって、適当にないまぜにするのじゃなく、クラシックでは多数出ているレクイエム系に統一したコンピがJ-POP系でも出来ないかと考えていました。

それで、提案したらあるメーカーを通して全曲の許諾が取れたのですが、これは特殊な流通での売り上げが見込める為、営業体制を整えてから出そうということで、当初より少し遅れて2011年4月6日に発売日が決まりました。

で、ジャケットも決まり、見本盤サンプルが上がろうとしていた時。

あの大地震が起こったのです。

未曽有の大災害により、多くのCDが発売延期となりましたが、この作品については、あまりにタイムリーすぎて、便乗商品という苦情が殺到しかねない、ということで発売中止となりました。

大人向け商品が絶好調のとあるCD店から「是非とも丁寧に売りたい」と言っていただいたのに、その“あるかもしれない苦情”の為に、仕事が帳消しになりました。呆然としました。勿論、それ以上に大切なものを失った人も大勢いらっしゃるので、生きているだけでも有難いのですが、私は音楽がビジネスとして成立しなければ生活できないんだなと、あらためて実感しました


さて、これとは別に、私は2009年頃、人生を感じさせるような上質な女性ボーカルのコンピが作れないかと、当時コロムビアにいたある方に相談し企画していました。チャリティー・コンサートの曲目とか、年輩の方のカラオケ上位曲リストを見ると、実はリスナーの方は、名曲において演歌やクラシック、J-POP、唱歌など分け隔てなく好んでいることが興味深かったのです。しかし、メーカーの方が作ると、どうしても、演歌は演歌、クラシックはクラシック、J-POPはJ-POPと自分の所属部署中心に考えられる。でも、コロムビアには、美空ひばり本田美奈子.一青窈も音源があるのだから、そういう壁を乗り越えた、力強いものが出来ればいいなと思っていました。

しかし、こちらも、その担当の方が退社されて、他の方に相談しても、ありえないと聞き入れてもらえない状態が続いていました。

それが昨年末、これまでお付き合いの薄かったクラシック部署の部長さんとお話しする機会があり、ジャンルに関係なく女性ボーカルに魅かれていらっしゃることが分かったので、当たって砕けろ!と勢いでご相談したところ、なんと今度は逆に「震災があったからこそ、そういうテーマは有りですね」と言われ、当時の曲目を少し入れ替えて企画が進むことになりました。それが、以下のCDです。


『LIGHTS OF LIFE〜明日のために』 

(2100円)2012年2月22日発売 COCQ-84939

1 【オープニング・トラック】あすという日が/仙台市立八軒中学校 吹奏楽部・合唱部
2 アメイジング・グレイス本田美奈子.
3 愛燦燦 /美空ひばり
4 ハナミズキ一青窈
5 元気を出して/手嶌葵 
6 瑠璃色の地球KOBUDO feat 夏川りみ 
7 千の風になって/鮫島有美子
8 野に咲く花のように /ダ・カーポ
9 翼をください山本潤子 
10 時には昔の話を加藤登紀子
11 シアワセノカケラ/岩崎宏美
12 FOR THE FRIENDS/河合奈保子
13 Over The Rainbow藤田恵美 
14 人生の贈り物〜他に望むものはない〜/ダ・カーポ
15 イツクシミ/KOBUDO feat 上間綾乃
16 見上げてごらん夜の星を本田美奈子.
17 川の流れのように美空ひばり with 高嶋ちさ子12人のヴァイオリニスト

基本的には人気曲実績を重視しつつも、メーカーさんのご提案で今年クロスオーヴァー界でのデビューが期待されている新人女性「15」を入れることになったり、逆に、折角コロムビアから出していただけるのだからと、自分の職権を濫用(?)した「12」(他の人が企画したらこんな選曲有り得ない!でもじーんとする曲です。)とかあり、全体に聞き心地の良いもので統一できたかと思います。カバー曲も多いですが、美奈子.さんも夏川さんも、葵ちゃんも藤田恵美さんも、もちろん鮫島さん(カタログ系の通販CDでは大ヒットしています。)も違和感なく心地よく聞けます。別のメーカーから出る予定だったレクイエム系よりも、更にお店の反応が良いみたいなので、どうか多くの人の心に響けばいいな、と思います。


以上、人生は1年単位ではなく、もう少しロングレンジで見た方が良い というお話でした。

もし今すごく不運が続いたとしても、それを人に当たり散らさず粛々と努力し続けていれば、もしかすると、自分にチャンスが訪れるかもしれません。私もこうして拾って下さる方がいるので、運良く仕事に結びついています。でも、まだまだ努力不足だな〜。今年は、そんなアンテナを努めてより多く張っていたいなと思います。また、色々とご鞭撻下さい。よろしくお願いいたします。あ、(多分3人くらいしか期待されていない)2011年間ランキングは、来週にでもこっそり更新します(笑)。