T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

161・人が人であるために

先日、ビクタースタジオで最新技術K2HD HQCDで録音されたものを聞かせていただいた。従来のCDだと、どうしても平面的でつかえた感じになるのを高周波域を補正して、さらにそれ用にマスタリングして、さらにさらにHQCDという媒体も改良して(最新のK2HDでは、これまでビクターで出してきたSHM-CDよりもHQCDの方が相性が良いようです。)、作られた音を段階的に試聴したのだが、通常リマスタリング×クリスタルCD並みの良音質(こちらは10万円〜20万円)と(私の耳では)そんなに変わらない音質が、録音技術とリマスタで楽しめるという逸品で驚いた。今のところ、クラシック、ジャズや洋楽が中心で、邦楽では広瀬香美のシングルベストのみらしいが、これで聞いたら、ヒロリンの初期アルバム10枚とか、95年〜97年あたりの作品は大きく変わるだろうな〜と思った。それらの29作品のうち、簡単に定価で入手できるのは、既に5作前後となってしまったが(やっぱり価格高騰してしまうヒロリン作品。。。)、それでも音質向上だけの為に購入する人は、もう1000人もいないだろうし、リマスタリングや流通のコストを考えると発売は難しいと思うけれど。。。『ファンタジー』『パンドラの小箱』『I WON'T BREAK YOUR HEART』『FULL CIRCLE』『SHOWER OF LOVE』あたり、あと移籍後だったらDFシリーズIV、Vと『Happiness』『PRAHA』は音質が大きく変わるはず。気になるなぁ〜。ちなみに、そのK2HDシリーズの大半のリマスタリングを担当されているのが、ビクターのヒロリン復刻シリーズをミラクルに蘇らせた袴田剛史さんです。謙虚なのに、優秀って超理想!
 それにしても、これだけMP3音源とかYouTubeの手軽さが当たり前になった時代に、ひたすら技術の向上を続けているビクターさんには驚かされます。配線や音響を調整した上で、楽器を演奏して、声を録音してアーティストやエンジニアが命がけで作ってようやくできたマスターテープを、いかに遜色なく世に出すかにこだわるのは、アーティストも聞き手も大事にしている何よりの証拠。その音も、その言葉も人が発していて、そしてそれを人が受け取るものだと意識することが大切だとあらためて教えられた1日でした。