T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

296・原田真二LIVE

OUR SONG

昨日は、原田真二のLIVEへと国際フォーラム・ホールCへと出向いた。

正直、私にとっての原田真二は、2000年前後のマンネリ聖子(笑)を打破しようと闘ったフロンティアであるし、「雨のハイウェイ」あたりで再ブレイクしようとした80年代前半のシティポップな感じも好きだけれど、それ以外は、大方の人と同じく“「タイム・トラベル」までのヒット・アーティスト”というイメージで、昨年発売された新作を聞いても、失礼ながらやっぱり懐メロの人だと思っていた。まぁ、年末でデビュー35年というし、そんな集大成が見られればいいかな、くらいな何様気分(笑)で有楽町に向かった。

そして、入口に並ぼうとしたのだが、そこに溢れる人、人、人。正確に言えば、元女子、元女子、元女子(笑)。これまた失礼だが、CDのセールスを考慮すれば、ホールCを埋めるのも難しいのでは?と思っていたのだが、その動員力の凄さ、人々の熱気!!懐メロをサラリと聞きに来たのじゃないんだな、と確信し、ムムッこれは油断ならないぞ、とようやく警戒した。

そして、LIVEが始まってみると、あまりの精力的な姿勢に、正直完全にノックアウト!「てぃーんずぶるーす」「キャンディ」「シャドー・ボクサー」などのヒット曲を素直にトレースせずに、新たにロック・バージョンになっていたり、「タイム・トラベル」なんて、会場を3つのパートに分けてハモらせる超ロング・バージョンになっていたり、名作におけるパーカッションを、斉藤ノブと並んで、かなりの高確率で担当している三沢またろうと怒涛のパーカッション対決をしたり、もうクライマックスてんこ盛りで、果てても果ててもまだ挑んで、観客を楽しませようとするのだ。今、公式サイトを見たら今年54才らしいけど、このパワーは何!!と驚きっぱなしだった。

で、そんな絶倫(笑)ぶりに、私は呆然としていたが、元女子たちは勿論、そして音楽にうるさそうでパートナーに渋々連れられて僻目で見ていた元男子すら、どんどんスタンディングしていって会場全体がライブハウス状態、本編6曲からWアンコールまでの10曲ほど、盛り上がりっぱなし。泣きのバラードとか、語りとか一切なし。ただただ、コーラス隊と組んだり、会場に合唱させたり、バンドと絡んだり。7時過ぎから始まったLIVEが10時20分までノンストップで、私はもうヘトヘトだったのに、その後、またCD購入者対象の握手会があるなんて、もうサービスし過ぎ。このサービス精神は、彼が広島出身だからなのか、やはりアミューズ第1号アーティストだったからなのか、とにかく、原田真二は、超・超・現役だと改心した。例えば、桑田佳祐とかもサービス精神旺盛だけど、桑田佳祐の場合は、ライトファンが知らなそうな曲では、音楽とじっくり向き合ってコアファンだけを楽しませようとするけれど、原田真二の場合は、知らない曲でも、楽しませようとずっと懸命で、途中で倒れないだろうかとこちらが心配したほどだ。

ちなみに、昨年、テイチクから出たセルフカバー・アルバムはTOP300圏外で、その後ロングヒットしているという形跡も特にみられない。それでも、このLIVE力は、TOP10クラス、例えばASKAやスターダスト・レヴューと比べても引けをとらないレベルではないか、あるいはもっと売れている男性アーティストよりもパワフルだと確信した。

それにしても、テイチクは、彼を含め、BEGIN、岩崎宏美尾崎亜美怒髪天堂島孝平下地勇などなど、

(LIVE力)>>(CDセールス)

のアーティストの宝庫になりつつある。CDが売れないとすぐリストラしがちなレコード会社が多い中で、あくまでもリスナーに向けて良い音楽を送り続けようとするスタンスがいつか報われますように。