T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

295・リラの花咲く頃

常夜灯

またまた、中島みゆきのアルバム『常夜灯』から。

4曲目の「リラの花咲く頃」は、祖国に焦がれつつも祖国に帰れない人についての歌で、まさに“ピアニシモ”な歌い方なので、彼女のガナリが苦手な人でも聞けるバラードで、綺麗だけど切ない、でも想いはずっと続くのだなぁ、となんとなく聞いていたが。

はて、この歌は、いったい誰のことを歌っているのだろうと気になった。

94年の「ひまわり“SUNWARD”」や05年の「帰れない者たちへ」などこの系統のものは初めてではなく、前者は中国返還前の香港と、後者は『夜会』に登場する鮭にそれぞれリンクしているので、理解できたのだが、この歌は「リラ」ゆえ、日本を含め北半球のどこかの国の話だと思うのだ。

しかし、今の日本では、殆どの人がカネと時間さえあれば国を自由に往き来できるし、祖国に帰れないという状況をダイレクトに共感する人は、あまりいないだろう。と考えると、もしかして、これは日本の話ではないのだろうか。それとも、遠い昔の話だろうか。それとも、近い将来、世界が仲よくしなければこんな苦しい状況になってしまうよという警告だろうか。はたまた、これは、某国に幽閉され、日本に帰れない状況下の人を歌っているのだろうか。。。あるいは、「祖国」を「故郷」と読み替えれば、今なお、原発問題で多大な被害に遭われている方にも寄り添うのではなかろうか。。などなど。

とにかく、歌詞が曖昧だからこそ、色んな状況を想像するのだが、それゆえ自分が生きているのは当たり前ではなく、様々な人を思いやることが必要なんだと気付かされる。(とはいえ、忙しさを言い訳に、なかなか実現できないんだけれど。)やはり、彼女の歌は、私の教科書であり続けるようだ