T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

343・あなたの言葉がわからない

日-WINGS

前日の河合奈保子つながりで思い出したけれど、Amazonレビュー内で、私のような者には理解できないことがある。それは、「河合奈保子の楽曲は良いけれど、音が最悪」と書いて、徹底的に悪い評価の星をつけて貶める人がいることだ。

確かに、ビクターのように高音をキンキンに響かせたリマスタリングでも、ポニーキャニオンのようにアイドルらしいキラキラ感を前面に出す系統のリマスタリングでもない。しかし、80年代に出たシングル・コレクションや、01年に出た『Jewel Box』と比べると明らかに音質はよくなっているし、歌の上手さも生演奏の迫力もバランスよく分かる。だから、それは「音が悪い」んじゃなく「音が(あなたの)好みとは異なる」ということだと思うのだがどうなんだろうか。

そして、奈保子さんの評価で分からないことといえば、ある歌謡曲サイトで毎回、河合奈保子は発声方法が悪い」と全否定して、それゆえ失敗したのだと唱える人(シングル21作TOP10入り、400万枚のセールスで“失敗”なんて!!)。ちなみに、その人が強いて評価していたのは、「ストロー・タッチの恋」と「微風のメロディー」で、「こういう作品が続いていたら、もっと延命化しただろう」なんてタラレバ論を展開していて、壮大バラードもハードポップ路線も大好きな私なんか全く同意できないし、そもそも「歌が上手い」ことが引っ張りだこだったグラビア界に収まりきらなかった最大の要因だと私は信じている。

ともあれ、丁寧に作られてきた楽曲、そしてそれを丁寧に現代に蘇られせた復刻作品をこれからも応援したい。撒き散らされた言葉によって傷んだ心を、言葉で治せないか、別方向から見せればよく見えるんじゃないか、と日々動いている。

ジャケットは、表題曲収録の中島みゆき『日-WINGS-』。これを聞くと、30歳そこそこだった秋冬を思い出します。当時はサンプルがカセットだったなぁ。