T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

294・「望みの糸」「救いの糸」

中島みゆきの『常夜灯』に収録されている「倒木の敗者復活戦」。彼女が得意とする弱き者、闘う者への応援歌なのだが、この歌の一節に

望みの糸は切れても 救いの糸は切れない

というのがある。実は、私、こんなに長くファンをやっているのに、この部分が、どうもよく理解できなかった。うーん、望みが途絶えたら、もう救いがないんじゃないか、これは単に語呂合わせみたいなものかなぁ、とか、自分が理解できないから相手を見くびってしまうという、現代の風潮のような、もう物凄く失礼な(汗)解釈をしてしまったほどだ。辞書を調べても、例えば大辞泉では

「望み」・・そうなればよい、そうしたいと思うこと。
「救い」・・人の心に安堵(あんど)感を与えるもの。

とあるが、これも何かこの詞を理解するのにイマイチしっくり来ず。。。

で、ふと気づいたのだが、“「望み」は自分発、「救い」は自分着”なんじゃないかと。つまり、自分が「望む」を絶っても、人が「救い」の手を差し伸べてくれるからこそ、またそこから始まりがあるんじゃないかと。考えてみれば、自分が過去何度か絶望しても、まだ頑張れているのは、他ならぬ人からの「救い」があったからじゃないか、と我が身を振り返っても実によく分かる話だった。(なのに、すっかり忘れてしまっていた我が身に猛省。)

それにしても、Aメロで「ひどい状況、でも、そこ止まりだろうか」と疑問を投げかけ、Bメロで光が差し込むようにこのフレーズが入り、Cメロで「傷から芽を出せ」と人々を鼓舞する、なんとも舞台的な展開。歌声もそれぞれで見事に使い分けていてドラマティック。近いうちに生で聞いてみたい。