T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

362・マスゴミかクチゴミか

miss M

最近、特に東日本大震災以降、ネット上でマスコミへの批判が数多く見られる。それゆえマスコミのことをマスゴミと揶揄する人も少なくない。確かにテレビでの大手スポンサーや隣国を過剰に配慮した結果の隠蔽気味の報道、活字媒体での偏った報道など近年目に余るものもあるし、私自身が関わっている音楽ニュースでも表面的な事実ばかりを賞賛する報道(例の音楽以外の魅力でオリコンチャート1位の時とか)とか、それでも報道機関か??と呆れることもあるし、メディアに関わる立場である私自身も常々反省しなくてはと思う。

しかし、その一方で、ネット上のクチコミはそんなに信用できるのか?と驚くこともある。例えば、最近まとめニュースとして人気が急増している「NAVERまとめ」。先日、「中島みゆき『糸』カバー特集」というのがあって、その冒頭に“中島みゆみより感動するBank Bandのカバー”として動画を紹介する一文を見て私は憤慨した。しかも、個人の意見としてならまだしも、まるで誰もがそう感じるかのような書き方が尚更腹が立った。そんなお粗末はマスコミでは全く有り得ない。

無論、桜井氏が嫌いなわけではないし(むしろヒットメーカーとしては大リスペクト)、彼の音楽界、とりわけ若いミュージシャンへの影響力の強さ(歌い方、作曲法、日本語重視の作詞法)は重々承知している。だが、この歌について、私個人は中島みゆきバージョンの随所に見られるタメが好きなのだ。

私なら「ロックファンなどより幅広く知られるキッカケを作ったBank Bandのカバー」と紹介するだろうか。できればオリジナルもカバー歌手も、そしてそれを知ったリスナーも皆win-win-winな関係を紹介したい。そういう文章は、普段つき合っている記者の方々に日頃からご指導いただいて、またファンの方が見て不快にならないかなと想像することで書けるようになったもので、決して私一人の力ではない。

他にも、自分の親族というサンプル数「1」で、「近頃の子供は、こうなんだ」とまるで全体の傾向のように話したり、その一方で、サンプル数「10000」で傾向分析した結果について「10001人目は違う意見かもね」(←ドリカム「何度でも」の誤用かよ??(笑))みたいに、傾向すら素直に認めなかったり、なんというか・・・事実を読み取る準備段階なのに、情報発信だけは簡単にしてしまうように思えてしまう。マスコミを批判するのと同じくらい、自分のクチコミの信憑性も入念にチェックした方が良いのではないだろうか。

だから私は、マスコミにお願いして情報発信するときも、クチコミとしてこうして発信するときも、それらがマスゴミやクチゴミにならないように、今後も注意できればと思う。

画像は、そんなことを私の人生で一番最初に気づかせてくれた中島みゆき「ショウ・タイム」収録の『miss M. 』。このアルバムは全体に小ぢんまりとしているけれど、その分身近に感じる詞曲が多いです。(一番好きなのは「ノスタルジア」。あっ、しーちゃんの同名異曲(『I'm not』収録)も大好きです♪)