339・幸せだと響かない歌
昨日、またもや中島みゆきのLIVEに行った。今回のツアーでは、工藤静香に提供した「NIGHT WING」をセルフカバーしているのだが、この歌、「翼」や「夜」が出てくるところといい、「幸せな姿」と「孤独」が綺麗に対比されているところといい、私の好きなハードポップ調といい、いかにも中島みゆきの傑作なのだ。
しかし、2008年に工藤静香が歌った時、まったくピンとこなかった。当時は、中島みゆきが変な曲をあげちゃったのかなとか、はたまた工藤静香の表現力が下がったのかなとか失礼ながら思ったが、それぞれに後年に秀作を残しているので、決してそんなことはなく、また実際に今回のツアーで中島みゆきがこの歌を歌った時、それはそれは感情がしっかりハマる良い曲だと実感した。
おそらく、今の工藤静香には、こうした孤独を深く思い悩む歌がしっくりこないんだなぁと思う。カップリングの「雪傘」は、別れたけれどまだ相手に未練がある、というわかりやすい内容で、なおかつ小動物のような可愛さがあると映える歌なので、家族のある工藤さんでもピタリとハマるのだが、「NIGHT WING」はもっと夢追いの部分が重いので、今の時期は合わなかったんじゃないかなぁと思う。
あるいは、私自身が、08年当時は、他のことで精一杯でこの歌が響かず、今、いろんなものをギリギリの所で踏ん張っているから響くのかもしれない。(決して貧乏とか不幸せとかじゃないんだけど、常にお尻に火がついている状態(苦笑)。)
歌って、歌い手や聞き手の精神状態を照らし出すものだとつくづく思った1日だった。