T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

4・少し深く考えれば仕事になる

 ここ数年、私がつくづく感じているのは
「世の中には分からないことが多いなぁ」
ということです。自然の法則にせよ、経済面の予測にせよ、世界情勢にせよ。 それは、私がふだん見ている音楽業界でもあてはまることで、なぜヒットしているのか完全に理解できない作品も多いし、その逆のパターンも少なくないですよね。昔(アマチュアの時代)は知らないで、ゴシップめいた予想をするのが楽しかったけど、今はその言動によって傷つく人がいるのも身に沁みているので、そう易々と発言したくはありません。

 他方、そんな考えるべきことが溢れているのに関わらず、世の中というのは「とりあえず回っている」ことが非常に多いと思います。そんなに考えなくても、延ばし延ばしにして(すんでいるように見える)環境問題や、そんなに高精度を求めなくても使える技術、音楽の場合ならとりあえず発売してあれこれ戦略を立てるより、大型タイアップをドーンとつければ売れる、という考えもあるでしょう。

 しかし、だからこそこの世の中というのは、
「ちょっとでも深く考えるクセをつけていれば、面白い仕事になる」
と思います。私自身も、分析をする際に他の業界のパターンや、自分の理系時代のパターンを思い出しながら進めますが、ちょっとした工夫だけで物凄く感心され、「大したことしてないのに・・・」とかえって恐縮してしまうことも多々あります。さらに近年、人々はマルチメディアでの情報収集やその使いこなしに日々追われていて、全体に“広く浅く”考える方向に向いている傾向が年々強くなっているような気がします。だから、尚のこと少し考えただけで褒められるのかもしれません。もちろん、ネガティブに穿った考えを深く持つのはどうかな、と思いますが、例えば営業の方は、いったん仕上げた仕事や資料を、「相手のあの人ならどう見るかな」といった気配りをちょっと入れるとか、関西人ならどこで笑いを取ろうと、リラックスさせるトークのタイミングを考えるとか、そのちょっとしたことで凄く喜ばれると思います。まぁ、こんなのは当たり前だと思われる人も多いかもしれませんが、その“当たり前”で随分感謝される世の中になっているのですから、これほどコストパフォーマンスの良いことはないと思います。かくして、今日も私は、データとにらめっこして、いかにしてコイツの正体を見破ってやろうかと格闘しています。(笑)