T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

66・「心」のタイアップで

 アンジェラ・アキの2/25発売のアルバム『ANSWER』を聴かせていただいた。

 紅白効果はじめロングヒットとなったシングル「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」収録とはいえ、シングルはこれ1曲のみ。あとは、ボブ・ディランの「Knockin'On Heaven's Door」とかボス・スキャッグスの「We're All Alone」とかお馴染カバー(しかし彼女のオリジナル日本語訳)が入っているとはいえ、ほぼ新曲で、「イマドキ、タイアップ曲やシングル曲も殆どなく潔いな〜、どれどれ」と聴いてみると、もう絶句の嵐。

 「手紙」も“誰にも言えない悩み”ある十五才と“苦くて甘い今を生きる”現在の自分が交信する真摯なストーリーだけど、アルバムになると「人にも親にも言えない恋」をしたり、「毒リンゴを隠し持っている味方のふりをしている人が」沢山いたり、優しいはずの彼が「朝と夜の二つの顔」を持ち豹変し、「体のアザが増えていくだけ」の女性がいたり、「呆気なく命を落とした」女性が神様から一晩の猶予をもらい母親と恋人に逢いに行ったり、とシングルから更にエスカレートした壮絶なストーリーの連続で、正直ぶったまげた。これら以外にも、夢や恋愛を歌った明るい歌もあるけれど、それらもガムシャラな人間しか出てこなくて。いやぁ、こういう本気アルバム、本当に売れて欲しい。よく「日本人はバカになった」と言われるけど、これが売れれば、まだまだ日本も捨ててもんじゃないと思う。いや、簡単に“ポイしないでください!”

 1stが70万枚、2ndが30万枚弱で店頭でかなり苦戦していたこともあり、しかも、本作はタイアップが殆どないからと言って、仕入れを大きく渋る(特に黄色と青色マークのお店(笑))のは目に見えているけれど、それでも真に生きる“救い”となるような作品なので、多くの人に届くといいなと思う。こういうのが売れないと、世の中が元気にならないですよね。チャート分析型のブログなどを垣間見ると、「CMやドラマのタイアップがないから失敗だった」とか平然と書いている人が多いけど、そんなヒマがあったら、自分の言葉のチカラで「心」を伝えて良い作品が動くようにしてもらいたい。悪口言って傍観しているのは寝転んでも出来るけど、一人の人のお財布を「心から」開かせるってどんなに大変な事か。是非、あなたの「心」というタイアップで人の「心」を動かしてもらいたい。

 あー、こういう本気作品、あのボーカリストにも歌ってもらいたいなぁ〜。(ホンネ)