105・クリスタルディスクを聴いて

　中島みゆきが昨秋に出したクリスタル･ディスクを聴いた。その直後、・・・ちょっと言葉に詰まってしまうほど、あまりの音の良さに我が耳を疑った。他の高音質CDは、音が細かいな〜、これはアーティストによっては、演奏音が多い作品によっては、凄く効果が出るんだろうな〜みたいな感想だが、クリスタル･ディスクではスタジオ録音なのに、まるで観客による雑音のない、当日のコンディションによるムラのない、完璧なLIVE状態！！中島みゆきの場合は、96年あたりからほぼ全曲演奏との同時レコーディングだから元々CDでもLIVE感が強い人なんだけど、それでもなお、ボーカルメインでもインスト部分でも、音がすっごく近いと感じるのだ。もうすぐそばにいる感じ。（ちなみに私、中島さんが92年〜99年に出していたAPO-CDについては、差異が分からないほど鈍感です。）特に、中島みゆきの場合は、歌詞がよりダイレクトに耳に入ってくるので（ついでに、ガナリもよりパワフルに入ってくるので（微笑））、これが初めて聴く楽曲だったら、その感想も変わってきそうなほど。アーティストが創っている音がこれならば、いつもリスナーが聞いている音とのギャップにジレンマを感じながらリリースしているのかなぁ〜と逆に心配してしまった。他方、薄っぺらいデジタル音源だったらそんな心配はないんだろうけど。

　そんな非常に贅沢な音作りのクリスタル・ディスクだが、お値段なんと94500円！！発注があってから1枚1枚手作りということで、恐ろしい値段になっています。こりゃあ余程の好き者（笑）しか買えんわ〜。しかし、恐らく総生産数からしたら、大した違いのない岩崎宏美SHM-CDは、たったの2500円です！（←結局ココかい！（笑））どうぞ、生産終了しないうちにお求め下さい。V社のは限定と銘打ってなくてもいつのまにか買えなくなるので。ちなみに、既に生産終了している幻の16枚組『ROYAL BOX』は、洋楽カバーも大量にあるし、1枚ずつ細かく復刻しているしで、恐ろしいコストがかかっている為、もし数百レベルで再生産するとしたら５万円前後とかオークションと変わらない値段になると思います（あくまでも、私の推測ですが。）ですので、どうしても欲しい方はその値段でも買いますリクエスト（でも、それこそ好事家レベルだし、そういう人は既に買っていますよね）か、あるいは、もうボーナストラックもジャケや封入物、ブックレットも要らないから音源だけで売ってというリクエストをするとか（でも、これなら友人間で音源のやりとりをしそう）、はたまたビクターが積極的なMEG-CDへのリクエストをされるのが早いかなと思います。

　とにかく、今のエンタメ界は「買わない」楽しみ方が広がりすぎていて（無論、私もその恩恵にあやかっています）、「買う」に届けるための「創る」が徹底的に絞られている状態で、その究極がクリスタルディスクなんだと思います。企業全体で十把一絡げにするのではなく、高音質で楽しむべき高品質な作品が出続けるような環境が落ち着けばいいなと、やっぱり私は願うのでした。