T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

128・やっぱりCDが好き

10/4発売の日経TRENDYにて「CD不況のウソ−実は意外な場所で売れている−」という記事を3ページ書かせていただきました。8月下旬のHMV渋谷店の閉店ニュースが流れて、多くのメディアが「あー、もうCDって終わりだよね〜」と報じたり、わざとチャラい子にインタビューしてその後、音楽に疎いコメンテーターが「CD??今の若い子、買わないでしょ?」みたいな発言を他人事のようにしたり(どうやっても買わない人は昔からいましたって!なんでタワーの行列に並んでいる20代女子を見ないの?? それにCDの売上の減少幅よりも、昨今のTVの広告減少幅の方が大きいでしょうが(笑)。)、オリコンの数字だけで“売れてる/売れていない”がプロ/アマ問わず表層的に議論されたり、なんかあれこれと事実が伝わっていないのがもどかしくて、第一、この大不況の中、弱いものイジメみたいな記事書いて傷を舐めあうヒマがあるのなら、その間に頑張っておられる人々を紹介したくて、編集様にご提案し、彼の確かな文章力によってスラスラ読めるような記事にしていただきました。

 確かにCDは年々売れなくなってきているけれど(だから必ずしも“ウソ”ばかりではない)、まだまだ音楽配信を上回っているし、パッケージには、ならではの良さもあるし、そういう部分が伝わればいいなーと思います。あと、大変だと思うけれど、CDショップにも工夫次第で元気になってほしい。タワレコさんもそうだけど、それ以外にも全国に元気な所はあるし、今後はそういうのも紹介できればいいなー。ちなみに、よくメディアで発表される90年代後半のバカ高いCDの生産額だけど、あの頃って買う/買わないを問わず、お店に突っ込むために過剰に生産していたので、余計に実勢より高い数字になっているということにも注意する必要があります。もちろん、当時より下がってはいますが、その上積み分をそのまま鵜呑みにするのもなんだか違和感ありありで。

 最近は、新人さんの音楽もチェックしつつも、中原めいこのアルバムでカセットやMDでしか持っていない作品をCDで買い直していて、でも全部廃盤で、かといってアルバムフルダウンロードで1600円ってどうも買う気がしないし、仕方なく中古を当たったりしているのですが、当時、CDで買い揃えていない、自分にとって10番−15番目くらいに好きなアーティストでも(これは決して優劣じゃなく。めいこさんの制作能力だけなら、だんぜん優だし!シンガーソングライターなのにどこか歌謡曲プロデューサーのような作品があったり、随所にラテンの要素を取り入れたり音楽通ならチェックされたし。)、やっぱりアルバムの曲順とか1枚で表現しようとしている世界観とかって重要だなーって惚れ惚れしちゃう。だからエエトコドリの配信やベスト盤だけではなく、やっぱりオリジナルアルバム、カバーにしてもコンセプチュアルな1枚のアルバムを楽しむという文化が残ればいいなと思う。そして、そういう風に頑張れる自分でいたいと思う。醒めるのはいつでも出来るけれど、必要とされる限りは熱く生きていたいなー。