T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

315・恩知らずは私か君か

※この冒頭に書いた悩みは2016年に解決しております。失礼いたしました。以下は、時が経てば、お互いに歩み寄ることもできるという事例としてご参考下さい。

恩知らず

中島みゆきの「恩知らず」というタイトルを最初に聞いた時、思い出したのは過去に仕事を紹介した一連の出来事だった。

 数年前、私はブログでアイドルからJ-POPまで紹介していた30代の青年から音楽業界への転身について相談を受けていた。その思い詰めた様子から、あぁ本当に音楽が好きで、プロになりたいのだなと感じた。
 ほどなくして、ある媒体社の方から、新メディアを立ち上げるにあたり、CDレビュー向けに音楽ライターがいないかと相談された。できれば、若手が良いと言われ、私はその青年を紹介することにした。ただ、その時点で、彼に任せるには、年齢がやや過ぎていたことや未経験が不利だったので、私や媒体社の人が尾鰭背鰭をつけて推薦し、どうにか採用された。その媒体社を足掛かりに、色々と仕事を拡げていくのだろうと予想していた。

 しかし、それから1年ほど経っても、一向にレベルアップする気配がない。作品のセレクトはバランスが取れて良いのだが、唐突に高評価の言葉が並んだり、前の作品の使い回しに見えたり、ちょっとこれは危ないぞと思い、その青年に、こういう風に直してみてはとアドバイスした。先方の媒体社も、当初毎週の更新だったのに、彼の一方的な都合で隔週にしてほしいと言われ、「本当にやる気があるのかな?」と私に愚痴をこぼし始めていたことにも危機感を覚え、なんとか挽回したかった。

 けれども、本業がずっと忙しいとのことで、それ以降も大きな変化はなかった。なのに、その一方で、無償で別の事を引き受けたり、ネット上のSNSでは「〇〇で連載しています!」とアピールしたり、違う部分に懸命で、「時間があるの?ないの?」と傍から見てヤキモキしていた。そうしたら、案の定、アドバイスしてから数か月で先方からクビを宣告された。媒体社側も立て直ししたいということで、私に協力を要請された。

 以来、その後も彼にメールをしても一切返事がない。クビになったことを逆恨みしているのだろうか。また、彼が応援する某アーティストのサイトで、私のことも知っているはずなのに、意図的にスルーしている感じで、そのくせ先日、特にフォロワーでもない私のツイートだけが引用され、「あんたは必要ないけど、あんたの情報だけチャッカリいただくよ」と返された気がした。

 人を紹介することは難しい。その人を理解した上で、良い部分を紡いで先方に紹介することで興味を持ってもらい、しかも先方は先方で、その人を社内で持ち上げて紹介することで、初めて成立することが多々ある。だからこそ、プロのエージェントは高額の手数料を取れるのだろう。私自身も、これまで自分が色んな所で「選ばれた」かのように“誤解”していたが、今から考えたら、点数で厳選されたのはせいぜい大学や大学院の受験までで、以降は、誰かがゴリ推ししてくれて転職できたり、仕事が採用されたりの連続で、もしかして、私の方こそ「恩知らず」と誰かから思われているのかもしれない(苦笑)。せめてもの償いに、今後も「人」と「音楽」を繋げることに役立っていきたいなぁ。