T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

372・終楽章(日経エンタ!にて)

今月号で、『日経エンタテインメント!』で連載させていただいていた「つのはず誠の月間チャート診断」が終了した。2002年4月号から2Pで始まり、全体のボリューム減のため2009年から1Pとなり、そしてこんな中途半端な2013年6月号で終了。まるで強制的な退去に見えて、さぞ、どこかからの圧力とか(ある人に、「あのデブのメガネにやられたの?」的な心配もいただいたが、それは有り得ないww)、はたまた私が何か不祥事でもやらかしたとか思われるかもしれないが、単に編集長が交代し、レギュラーのデータものを減らし、特集記事を増やしていくという方針に変わったからだ。(因みに、この連載、毎月の読者アンケートでも上位クラスのスコアを出していた。)

思えば、2000年8月に、『日経エンタ!』が当時始めていたメールマガジンのヒットチャートに対するコメントに対し、「こんな見識を読者に知らせるのは納得いかない。もっと、こういう風に見るべきでは?」と改善提案メールを送ったら、「あなたのような見方をする人は面白い」と言われ、その10月からネットの連載が始まり、そのアクセス数が伸びて、2001年4月から巻頭のデータに400字程度のコメントを依頼されるようになり、それがキッカケでその年末の「年間チャート診断」が始まり、そしてそれが面白かったのでと、翌年4月から毎月の連載が始まったのだ。つまり、最初のメールから本誌で連載が始まるまで1年8ヶ月もかかっていて、やはりここでも夢はすぐには実現しないことが分かる。

当時は、会社員だったので「つのはず誠」というペンネームで始め、最初は会社にも黙っていたのだが、“無断で何かをすると制裁を加える一方で、事前に報告・相談しておくと会社側が親身になって特例措置を施してくれる”という理解ある会社でもあったので、ある時期に相談したら、就業時間外なら続けても良いということになった。

10年以上続いたものって、私には数えるほどしかなくて、また同誌でも10年以上の連載はおそらく鼎談方式の『テレビ証券』くらいだと思うし、ちょっと寂しい思いもあるが、相変わらず、音楽市場のデータ分析系や社長・レーベル長などのトップインタビューもの(要は音楽的戦略をうかがう立場)は2005年以来続いているので、今後も良い形で貢献できればと思う。

ところで、私の中で、大切な何かが終わる時、必ずと言って良いほど心の中で流れるのが薬師丸ひろ子の「終楽章」。(薬師丸ひろ子×竹内まりや)では「元気を出して」ばかりが名曲扱いされるが、私は、この歌も結構好き。性格が良いとはとても言えないほど自分に正直な“THEオンナ”な歌詞(笑)、それでいて透明感のある歌声でそれを正当化してしまう薬師丸ひろ子の説得力、間奏でいつになく派手に演出する新川博のアレンジ、薬師丸の後を追う綺麗な男性コーラスは、クレジットを見るまでもなく、木戸泰弘&比山貴咏史の名コンビ、などなど魅力はいっぱい。なぜか・・というか、当然というか(笑)30周年ベスト『歌物語』からも、当時の最新ベスト『SENTENCE』からも選外となっているが、オリジナル・アルバム『シンシアリー・ユアーズ』(1988年)は、「時代」「もう一度」「色彩都市」などのカバーや、中島みゆき尾崎亜美EPO吉田美奈子などのオーバー・プロデュース(オケだけで、もう誰が作ったかが分かってしまうほど)で、やはり物怖じせずニュートラルに歌う薬師丸さんが素敵なので、よろしければどうぞ♪