T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

479・「うた」なのか「おと」なのか

組曲(Suite)

仕事のお付き合いでFacebookをしたり、CDショップ大賞の候補作のニュースを見たりしていて、最近思うことがある。それは、とかく音楽好きの人(それが高じて音楽業界にいる人)の多くは、「歌」が好きというよりも「音」が好きで、そこが自分との好みが大きくずれているということだ。

先日もこんなことがあった。タワーレコードにて中島みゆき組曲(Suite)』のフリーペーパーが置かれていて、そこには、全国の店員さんが彼女の最新作を推薦する為のPOPをコンペで作成し、その中での優秀作が掲載されているのだが、選ばれた10人前後のコメントが、ほぼ全員「演奏」や「曲調」について中島みゆきをプッシュしているのだ。私を含め多くのみゆきファンは、「歌詞」や「歌声/表現力」の魅力を強く感じているだろうし、その異なる視点は新鮮味もあったが、やはり「歌」と「音」のどちらで音楽を聴いているかがすごく違うのだなと思った

他方、実際のCDやダウンロードの市場は、「音」の魅力よりも「歌」の魅力でヒットするものが多い。つまり、中島みゆきに限らず、一般のお客様は「音」よりも「歌」を重視している人が多いのだ(無論、そこにヒエラルキーはない)。私自身は、たまたま今の感覚を大切にして仕事をしているだけで、自然と「人」と「音楽」がより繋がるので、それは心から嬉しい。

だから、これからも「生涯音楽素人」(?)として「うた」を大切にしていきたい。