45・ならば地方を見知れ

　この年末年始は、年始から分析を進める為のデータ整備をしていた以外は、かなり自由に時間を使っておりました。とはいえ、関東〜東北の色々なアーティストのLIVEや、様々なCD店をあちこち見学したり、HDDに溜まった特番での各アーティストの動向をチェックしたり、と結局は仕事のような遊びのような（笑）。

　そんな中でも、河合奈保子＆岩崎宏美の両BOXは、聞きまくっております！宏美さんの『ROYAL BOX』は、現代のリマスタ音源で聴くことでダイナミックな歌唱が堪能できますし（まさに、CDになるべくして開催されたような驚異的なLIVEの音源！）、奈保子さんの『NAOKO PREMIUM』は、演奏も歌唱も非常に繊細に作られていたことが、今回のBOXでよくよく分かります。それが必ずしも需要と一致しなかったとか、宣伝が上手くなかったとか、20年以上経って今なおアイドルマニアの間で繰り広げられる“奈保子失敗論”ですが、これを聴いて、素直に感動できれば、もうそれが全てという気がします。（そういえば、Wikipediaで、アーティストの最大セールス以外の全シングルを“失敗作”と書きまくっている人を見つけ、世の中の大半が否定的に見えてしまうこの人は、なんて辛い人生だと、かえって哀れに感じました。）

　2007年は、目標など何もないままに、ずっと暖めていた復刻のお仕事があれよあれよと進んでしまい、とどめには、ある会社のトップから「あなたの考える総合的な上位曲を教えて欲しい」と、20年以上前に自己満足で考えていた遊び（笑）までが、仕事として依頼されるようになり、（もちろん独断と偏見に満ちた年間ベスト2007 http://www3.point.ne.jp/~usu/nenkan2007.html　ではなく（苦笑）、　CD、着うた、カラオケなどを総合したもの）本当に世の中何が起こるか分からない、捨てたものじゃないなーと今はしみじみ思っております。だって、10代の頃のマイカセット、マイノート、みたいなものでギャラを頂いている訳ですから。

　2008年は、・・・一言にすれば、各地方で頑張っておられるCD店の味方になれるように分析や企画・執筆を通して関わっていきたいです。この年末年始で100店近くお店を周りましたが、どの地方も、郊外に大型ショッピングセンター（SC）がドーンと出来て、以前あったはずの地元店がなくなっていて・・・という構図が物凄く明確になっていて。で、そのSCには音楽ファンにはつまらない紋切り型のようなCD店が入っていて、そこにないものをこだわって買う人は皆、ネット通販に流れるという・・・。もうこういった大きな流れは、音楽に限らず止まらないものなんだろうけど、各地方特有の“心”の交流を疎かにしていると、絶対にどこかに反動が来るはず。地方の方たちは、IQよりもむしろEQが圧倒的に高いだろうし、それが社会的にも適しているのに、効率、効率と、都会仕様の杓子定規を押し付けても、いずれ歪みが生ずると感じています。勿論、そのローカル店も、もう置いているだけじゃモノは売れないということに、もっと気付いて欲しいし、CD/DVDのように情動的に購入する商品では、心の通ったコミュニケーションがポイント制度にも勝ることを再認識して欲しい。 私のような旅人に見返りなく、道案内して下さるようなあの優しさは、まさにプライスレスです！

　話はそれますが、その背景にはこんなこともありました。ある地方都市の老舗で、発売から3ヶ月経ったCDを定価（1000円）で買った後、そのすぐ近くの複合店でレンタルアップした同じもの（ただし、シールベタベタ）が50円で売っているのを見て、あちゃぁ〜！と一瞬思ったけど、考えてみたら1000円なんて、飲み会で食べ残してしまう量と比べれば誤差範囲だし、何より作品の高いクオリティーの詞や曲、歌唱、演奏を聴いて、そこにアーティストの生みの苦しみ→喜びがあったことを思えば、全然高くない訳で。大切に聴いてみたことで、金銭感覚のバランスが崩れているのを矯正できて良かった気がします。そういった出逢いがあったことも嬉しい。（ちなみに、私、岩崎宏美紙ジャケが置いてある優良ローカル店では、嬉しくてつい買い物をしています（笑）。）

　もちろん、自分の力なんてごくごく限られているけれど、素敵なアーティストや音楽が存在し続けることに貢献することにしか、もはや食べていけない無能者（苦笑、いや「笑い事では済まされない」というか、「もう笑うしかない」というか）なので、それに沿った方向で今年も楽しく過ごしていければと思います。どうぞよろしくお願いいたします！

追伸：今年は、選曲の仕事は既にいくつかいただいておりますが、復刻は今のところ携わっておりませんので・・・。