T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

467.想い出のコニーズ・アイランド

想い出のコニーズ・アイランド (MEG-CD)

今年8月に出るというデビュー35周年ベストの影響で、最近久しぶりに河合奈保子の様々な時期の楽曲を聴いている。何度も繰り返して申し訳ないが、この35周年という数字は、ほぼ休みなく活動しているアーティストのそれとは重みが違うので、少し躊躇するが、それでもこうして5や10の倍数で振り返る機会があるというのは嬉しいことだ。

その中で、意外に評価していなかったのが、アルバム『スカーレット』収録のこの曲。アルバムの2ndリード曲(カセットテープでのみリカット、後にMEG-CDとして初CD化)として、メインのリード曲「ハーフムーン・セレナーデ」とはおよそ3:2の割合でテレビ番組で歌われていたバラードで、同じバラードでもシリアスに熱唱する奈保子さんが好きな私は断然「ハーフムーン」推しで、この穏やか路線は10代の私にはやや退屈に聞こえてしまい、奈保子出演番組をチェックしつつも、この「想い出〜」がかかると、ややテンションが下がっていた。現に、87年、88年のLIVEで連続で歌われているのに、その分は結構適当に流していた気がする。多分、『スカーレット』の中では、10曲中8番目くらいにしか好んで聴いていない。いえ、決して嫌いじゃないんだけど、それ以外の曲がホントに大好きで!

しかし、この曲、考えてみたらちょっと異質・・・ということに、発売から29年も経ってから気づいた。まず、

Aメロ−Bメロ−Cメロ−Dメロ−サビ と1番だけでもかなり複雑。そして、2番は、

Aメロ−Dメロ−半音上がってサビ と、これまた一筋縄ではいかない構成。こんなJ-POP、滅多にない。彼女がピアノに向かって、気ままに作ったから出てきたのかな〜と、想像する。

全体はオールディーズ風にまとめつつ(だから、舞台もコニーアイランドなのかな?でも、タイトルを“コニーズ・アイランド”と微妙につづりを変えているのは、謎。4か月前に出た松田聖子の「雨のコニーアイランド」との差異化??とこれまた勝手に憶測)、決してバタくさくならないのは、河合奈保子が日本人らしく秘めたる情熱を歌いこんでいるからだろう。

しかも、メロディーはユニークながら、歌い方は実に自然体。この穏やかな歌唱は、このアルバム以降、どんどん増えていくので、多分、奈保子さんが一番好きなパターンのような気がする。また、歌詞も、トップモデルというイメージ・プロフィールらしく、映画のようなストーリー仕立てながら、一人の女性の自然な感情が綴られていて、今聴くと、すっと心に馴染んでくる。まぁ、当時は受験勉強真っただ中で、自分を鼓舞してくれるようなハードポップ路線の方が断然好きだったとはいえ、当時、あれだけテレビで聴けたのに、イマイチ魅力を堪能していなかった自分を悔やんだ(苦笑)。

この曲も、今聴くと当時よりも好きな人、私以外も多いんだろうな〜。もし、彼女が歌手として復帰したらLIVE終盤で歌ってくれるのだろうか、と勝手に妄想している(微笑)。