T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

75・やっぱり「本気」が好き

 今週は、もうクタクタ。仕事は程々にヒマだったが、その間に3枚のアルバムを聞いたからだ。
平原綾香『my classics!』 長渕剛『FRIENDS』 、そして中森明菜『DIVA』 。決して退屈だったのではない。むしろ、体力を使うほど凄いアルバムだったのだ。

 平原綾香のは、「おクラシック」の「お上品」な爽やかなアルバムだと思って聴いたら大やけどしそうな大作。繊細な声から野太い声まで今の自分の力を最大限に使った歌唱にビビリまくり。これは、着うたとかYou Tubeとかでサラリと試聴しても深みが分からないかも。スピーカーから力みながら歌う顔や手が飛び出てきそう(笑)。


 長渕のは相変わらず力みっぱなしなんだけど、移籍第1弾ということもあってか「卒業」「君のそばに・・・」「Blue Jeans」など若々しい作品もあって、なんだか懐かしくて熱い。青春フォーク系とは異なる若さで意外と新鮮。個人的には、「東京に来るのに眠れないほど/あたふたあたふた悩んだんだろ?」(「東京」)で胸をもがれそうになった。これは、家ではなく仕事場で一人で聞きたい。ちなみに、矢沢永吉の移籍第1弾『ROCK'N ROLL』も、声も作風も若返っていて、本作での若者捕獲キャンペーン(笑)は、あながち間違いじゃなかったな〜、それでいて永ちゃん節満開で、聴き応えあるし。実際に前作の1.5〜2倍の売上になってるし、やっぱりこの人も確実に人を動かせる存在だ。


 中森明菜は、07年演歌カバー、08年フォークカバー、09年歌謡&フォークカバー・・・その間に、企画ベストが何作か出て、もう本気のオリジナルはマーケットを見据えた上で必要ないと判断して作らないのかな・・・と、仕方ないと思いつつも残念だったが、聞いてみたら物凄く嬉しい誤算。『不思議』『Femme Fatale』『Resonancia』あたりの聞く気がない人には全く心に引っかからないが、音量を上げて耳を傾けると濃密すぎるカッコよさに頭がクラクラ。先日のNHK『SONGS』を観て「もう声が出ないね」とかほざいていた人、これ聞け、これを(笑)。


 とにかく、これらの作品が凄いのは、もうどれもこれも他の人に替えられない路線を突っ走っていることだ。決して奇をてらっているのではなく、流れゆく世の中と、そして自分自身と闘っている感じ。だから、最近、新しい仕事が増えたことで少し戸惑っている自分などは、その「本気」にノックアウトされそうになった。そして、やはりもっと強く立ち向かっていきたいと私自身大いに励まされた。


「本気」は面倒臭い。
「本気」は孤独だ。
「本気」は辛い。
けれども、
「本気」は清々しい。
「本気」は純粋だ。
「本気」は強い。

そんな「本気」がもっと多くの人に届きますように。