T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

92・真実は深いところに

 中村美律子。演歌歌手は数多くあれど、彼女ほど人によって評価が異なる歌い手はいないと思う。その評価は、「彼女の十八番は?」という質問に、その人が、A.「河内おとこ節」と答えるかB.「瞼の母」と答えるか、はたまた「壷坂情話」や「瞼の母」、更には「唐人お吉」などのC.「歌謡浪曲」と答えるかで、ほぼ決まっており、大抵の場合、(A)<<(B)<(C)といったところだ。(A)の人は、「明るい歌だけ歌っている、もしくは歌えない人でしょ」といった具合に否定的に決めつける嫌いがある。そういう状況を何度も目の当たりにしているからこそ、紅白歌合戦のような幅広い世代のふだん歌番組など観ない人たちが触れる機会では、「河内おとこ節」以外の楽曲が歌われることをいつも望んでいるのだが、1992年、1995年、1998年、2002年、2004年、2008年、2009年と、全14回中これで7度目の「河内おとこ節」。毎年のように、オリコン調べでも5万枚級の新曲ヒットを出しているにも関わらず、だ。この出場自体は一ファンとして嬉しいが、(A)評価の人の豪語っぷり=“ネガティブ知ったか”を目耳にするとゲンナリする。

 このことは、「人やモノを、お手軽に浅く広く理解するのは構わないけれど、決してその人やモノに対して安易に消極的な評価を下してはならないな」と、いつも気付かせてくれる。