T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

149.TVには向かない職業

会いたかった

私のような偏った人間(苦笑)でも、有難いことに雑誌新聞Webサイトなどで、あれこれとペンネーム名義の連載を持たせていただいたり、時には市場全体の話がある時などは本名でコメントしたりしている。ラジオにも、ちょくちょく出させていただいているし、それらが嬉しいのは、私自身が無名なのに、媒体さんがメジャーなおかげで「えっ、あんな立派な所で仕事をされているのですかー!」と褒められることだ。(ちなみに、旧友などから最も多くの反応があるのは共同通信でのお仕事。この界隈では、東京新聞や神奈川新聞あたりでしか名前が出ないのだが、全国の新聞社に配信されることで、各地元メディアに載るので凄いと言って下さるのだ。東京にいても分からない大切なことの一つです。)

 そして、その過程で「TVの仕事は断っているの??」とリップサービス上乗せ(微笑)で尋ねられることもある。実際のところ、話が来たのは何度もあるのだが、出演したのは1度だけ(しかも、それは新聞で出たコメントが良かったので、それと同じことを喋ってくれ、と依頼されただけで、いわゆるコメンテーターとは異なる)。あとは、全部流れてしまったのだ。お仕事をこちらから断るなんてこと、私がするわけはないのだが、どうにもTV、というかTVのモノの考え方、伝え方と自分の能力があまりに合わないようなのだ。(注釈:1度というのは11年時点で、その後13年〜14年にCSで10回ほど、14年に1度出演有)

 例えば、1ヶ月前こんなことがあった。ある制作会社から以下のような電話。

「あのー、今、ヒット曲の法則を調べていてー、ヒット曲はAKBの『会いたかった』とか3回繰り返しが“圧倒的に”多いんすよねー。それと、美空ひばりの『川の流れのように』みたいにサビで“ああ”というのも“断然”多いんですよ。その理由付けをしてもらえませんかねー。明日、会議なんすよー、じゃあよろしくー。(ボツ、ツーツーツー)」

 …ちなみに、私、この人とは逢ったこともメールでやり取りしたこともない。そして、話し声から推察するに相手はかなりの年下。TELした経緯も放送を予定する番組名も告げず。ちょっと、これって仕事人としてどうかなぁ(ちなみに、世間的にマスコミ全体が悪く言われがちですが、私が関わっている出版社、通信社、IT系、更にはCD店、レコード会社の方、皆さん礼儀正しいですよ♪)…とも思ったが、興味深いテーマでもあったので、過去30年間のメガヒット曲50曲を抽出、さらに昨年のヒット曲10曲を追加して調べてみた

 そうしたら、2回繰り返しは「だんご3兄弟」「TRUE LOVE」「LA・LA・LA LOVE SONG」「千の風になって」など大量に22曲もあるのに対し、3回繰り返しはたったの3曲。また、「おお」や「Oh」は8曲あるのに対し、「ああ」や「Ah」「あー」は4曲と、こちらも“断然”レベルのヒットの法則ではない

 そんな分析結果と、自分なりにその差が出る理由を考察してメールを送り返したが、まったく音沙汰なし。こちらから再度連絡しても返信なし。当然、ここまでの作業、ノーギャラ。(まぁ、この手の“自習”は、自分のトレーニングにもなるのでムダではないのです。)

 なんだかなー、と思っていたら、昨日テレビ東京系列でその番組が放送されていた。ヒット曲には「サビがアア」で「3回繰り返しが多い」そして、それらの曲を作っている(前述の「会いたかった」と「川の流れのように」)秋元康がゲストコメンテーターに。

 つまり、最初から結論ありきで、そこに向かって短時間で分かりやすい答を作り出すのがテレビで、それを求めているのがテレビの視聴者なのだ。ちなみに、秋元康はスケジュールギリギリのゲストブッキングだったそうで、最終的に内容が“秋元、万歳”的になったのはたまたま。というか、彼のヒットって、その分かりやすさをきちんと実現できる所にあるのだし、やっぱりTV的にすごい人なんだと思う。

 ということで、私は今日も動く姿を見せずに(笑)仕事をしている。そういえば、実際に会ってみると「顔はまともなんですね!」と褒めて(?)もらえることも。「顔は」って!あっ、こんなことを書いておいてナンですが、私自身テレビは好きでよく観ています。“人がどんなことに大きく反応するのかチェックしています”がより正しいかも。(←こういう見方してるから、テレビに呼ばれないんだって)