378・飯盒炊爨で食べるカレー
共同通信の『音楽玉手箱』でCDレビューの連載をしていると、年に数回、アーティストご本人や事務所の方から御礼の手紙をいただく事がある。私は他でも連載や執筆、コメントをしているが、共同でのその数はダントツなのだ。私が最も依頼され(多分)最も信頼もされている分析モノの記事でも感謝されることはあるが、明らかに先方のトーンが違うのだ。何か、お年寄りをいたわる感じというか、「いやぁ、遠いところからよく訪ねてくださった〜」的な感じだなと思っていた。
先日、ひょんなことからその謎が解けた。私としては、共同通信に掲載してもらっているつもりが、先方とすればその検索上位に出る琉球新報で地方の音楽ファンが書いた記事と思われているようで、それで「遠いところからわざわざ書いてくださって〜」的な感謝がプラスオンされているのだ。先日、某人気ドラマで、
「地元アイドルにわざわざ会いにいくのは、飯盒炊爨で食べるカレーのようなもので、本来は何てことないものが有難く思えるものだ」
といった主旨の平泉成の台詞があり、それが謎解きのヒントとなった。どうりで有難がられるわけだ。また、
「地方の記者のくせに、この人(私)、すごくいいこと書いてるね」
なんて書き込みを見つけたりすると、この短いセンテンスに色んな意味が込められてるぞと、あれこれ学んでしまう。
ともあれ、たとえ誤解であれ、地方で仕事を頑張っていると思われることで、ちょっと得することもあるというお話でした。つまり、地方だからこそ、より愛が伝わりやすいというメリットがあるということです♪