T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

389・「始まりの詩、あなたへ」の謎

始まりの詩、あなたへ始まりの詩、あなたへ/光る風(初回生産限定盤)

2008年4月14日に発売されたヒロリンこと岩崎宏美のシングル。私、この歌、何度もカラオケでも自転車こぎながらでも沢山歌ったことがあるほど、大好きでLIVEでもヒロリンがほぼ毎回歌ってくれて、しかも歌う度にどんどん深みを増していて、ここ1〜2年は聴き終わった後、体がしびれるほど気に入っている。

ところで、この歌を渡辺美里さんが翌年10月21日にシングルとして発売しているのだが、その事が物凄く不思議に思えるのだ。どう不思議に感じているか、以下箇条書きでつらつらと。

☆美里は、それまでカバー曲は洋楽や童謡、懐メロ中心で、新しめの邦楽カバーについては避けてきた。(もとのアーティストの印象が強いものを敢えて歌わないという傾向は、彼女に限らず業界内ではよくあること)なのに、今回は発売から1年半でカバー。

☆そもそもヒット曲ならいざ知らず、そこまで大ヒットではない隠れ名曲で、しかも宏美さんにとって09年時点で最新曲だったものをカバーするのは非常に珍しい

☆美里自身、この歌を非常に大事にしていて、カバーながらシングルA面扱いに加え、節目のLIVEのアンコールで歌ったり、チャリティ・コンサートの終盤で歌ったり(普通なら「My Revolution」を壮大に歌っても良いところ)、ただのカバーとは一線を画する扱いで重視している

美里がカバーした理由についてあまり語らない。(ネットで探す限り)ファンの人も今ひとつ釈然としていない様子。また、メーカーのEPICからの紙資料は、いつもならかなり詳しい解説がついているのだが、本作については「岩崎宏美さんのカバー」としか説明がなかった。

☆宏美さん自身は、何かのインタビューで、当初、映画『能登の花ヨメ』主題歌として書かれた本作を誰が歌うかは決まってなかったが、もし自分が映画主題歌を担当しなくても、この歌は絶対に歌いたいと決めていた(その割に、宏美さんが得意とする「あなた」や近年のキーワードである「ありがとう」が多用されていて、宏美さんが歌うことを想定されたようにも思える

☆美里の歌唱は、彼女の他のカバーのように全く別のアプローチではなく、まるでオリジナル曲のように壮大バラードとして正面から捉えている

確かに、宏美さんも、「つばさ」や「虹〜Singer〜」などのカバー曲をLIVEの要で歌ったことがあるが、それぞれに歌っている理由や歌った経緯をこと細かく丁寧に話しているし、それもシングルではなくアルバム『Dear Friends』シリーズを冠したLIVEなので、それはそれで納得した。

これに対し、美里さんの「始まり〜」は、もはやオリジナルとしてLIVEに溶け込んでいるように私には感じる。あっ、言っておきますが「竹島問題」のように、どちらのものだとか言いたいわけじゃありませんので(微笑)。

とにかく、本家サイトの方で妄想探偵・誠ちゃんとしてまとめたくなるほど、この曲の美里サイドの扱い方が不思議なのだ。どなたか、美里っちゃんのファンの方がお近くにおられたら、その辺の事情、私に教えてやってくださいな〜。

ともあれ、この作品がキッカケで近年の渡辺美里の作品をより深く聞くようになったのも事実。11年のアルバム『Serendipity』は本当に良質のJ-POPが詰まっています♪