412・縦割思考に御用心

最近、あるCDチェーンについて2つの残念な事が続いてやや幻滅した。そのお店は品揃えも好きで、私自身そこで買うことも多かったし、また企画したCDも比較的多く置いてくれていたので、それでもう絶縁！とかそんなことはないのだが。

1つは、あるロック系に強い催しがあり、そこへの協力が非常に薄かったことに対して、「そんなのがなくとも、うちはロック系がしっかり売れるから」と返答されたこと。しかし、催しによってロックファンの人口自体が増えれば、一番メリットがあるのはその店だし、何より、これまでロック系の作品を例えば、他のCDショップが告知しても「○○（その店）で買おうかな」と思うロックファンも多いわけで、つまり他のお店やイベンターに対して、そのお店は実はものすごくお世話になっているのだ。

そして、もう１つは、ある企画CDについて、そのお店のフリーペーパーにてかなりの金額の有料広告が実施されているのに、大半のお店では最初から仕入れられていないという、何とも腹立たしいことが起こっていた。いや、仕入れないのは、「うちの店では売れないからねぇ」という理由かもしれない。だったら、最初から売れるわけでもない（と思っている）商品の広告を受けつけることも止めるべきではないか？？しかも、そのフリーペーパーはネットにも他店にもなく、お店に訪れなければ接触できない媒体なのに、お店に商品がないとはどういったことなのか？？取れるところからチャッカリお金だけもらっておいて、あとは一切ケアしようとしないそのスタンスに腹が立った。まぁ、百歩譲って広告担当と仕入れ担当は違うからというかもしれないが、視野を広げないことでなんと莫大なチャンスロスや信頼低下を引き起こしているのかと実感。しかし、そこで苦情のメールを入れてもプライドの高い人は動かないので、「折角の機会ですし、広告と店頭展開を連動させれば、より売りやすくなるのでは」と提案のメールを入れておいた。いがみ合うままでは、なんのプラスにもならないから。

このチェーン店、決して業績が悪いわけでもないのに、この極端な縦割り思考は何なのか？？と逆に驚いた。業界上位店でもあるし、全体が潤えば、自分たちにも反映される、といった優れた会社が持つべき余裕や美徳がないことにもゲンナリした。やはり、それだけ「今でしょ！」「今でしょ！」と当期のみの売上、しかも自分の部署のみの売上が重視される世の中なのかなぁ。人を見る際には、その左右や過去未来にも視野を広げて、愛情を持って接したいものだ。