T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

437・若草恵萌/木枯らしの乙女たち

ゴールデン☆アイドル 河合奈保子

束の間の休日、河合奈保子『ゴールデン☆アイドル』を聴いた。Blu-spec CD2効果の為か、各パートの音や役割がより明確になっていてちょっと新鮮。吼えコーラス萌え、演奏ギミック萌え、ストリングス萌えの私には、これはこれで有難い。

それで、発売順に聴いていると、「Invitation」B面の「木枯らしの乙女たち」の余りの中森明菜「難破船」テイストに驚いた。(発売は当然、「Invitation」が先だが、知らない人が聞いたら“これ「難破船」のパクリ?”と突っ込まれそうなレベル)。少し聞いただけで若草恵だと分かる大げさ感。しかも、奈保子もエスカレーション」以前では、最大級のシリアス歌唱でこれまた私好み。歌詞では“淡い恋の傷あと”がほんのりと語られているのに、そのドラマティックな歌唱や演奏が必要だったのか(笑)、ましてやこの時期の奈保子ファンに刺さったのかどうかは疑問だが(笑)、この時期から既にぶっちぎって全力を尽くしてしまう河合奈保子の底力にあらためて感心した。この歌、これまで名曲扱いはあまりされているのを見たことないけど、その歌唱や編曲に特化すれば自作曲路線好きな人が聴き直したらきっとハマりそう。今なら奈保子ファンも十分すぎるほど大人になっていることだろうし(笑)。そんな良さにいっそう気づくほど本作の音は特徴的。

それにしても、やっぱり私は若草恵さんのアレンジは好きだわ〜。「難破船」以外にも、“アレンジが好きで誰かと思って調べたら若草恵”という曲を集めてみると、

前川清「花の時・愛の時」、柏原芳恵「待ちくたびれてヨコハマ」、五木ひろし「追憶」、郷ひろみ「哀愁のカサブランカ」、やしきたかじん「なめとんか」、坂本冬美夜桜お七などなど。そして、河合奈保子「ラブレター」「夏のヒロイン」など82年頃のあれこれも。奈保子さんの若草作品で一番好きなのは、『プリズム』収録の「虹色ファンタジア」かな〜。とにかく、演歌やポップスを無理やりクラシカルにすることなくそれぞれの良さを活かした上で、ストリングス洪水を浴びせてメランコリックに味付けする所が大好き。このジャンルの垣根を楽勝で超えられる技巧も素敵。そうそう、実は畑中葉子「後から前から」も若草恵編曲でした(長い間、作曲の佐瀬寿一だと思っていた)。どうりで、どこかミステリアスな感じが漂っているわけだ。

そんな感じで、作詞家、作曲家大全ばかりが出るけれど、後藤次利萩田光雄船山基紀大村雅朗、そして若草恵あたりは、編曲家として企画物があってもいいな〜とあらためて思った。まぁ、編曲家に興味のあるディレクターさんがいないから出そうにないけれど(苦笑)。

ちなみに、若草さんは男性で、たしか研ナオコ「かもめはかもめ」のヒット秘話みたいなのを新聞で読んでお顔を拝見し、その旋律の美しさとお名前から勝手に女性だと思いこんでいた私はぶったまげました。