T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

452・「単・純・愛vs本当の嘘」私の解釈

My Treasure Best -中島みゆき×後藤次利コレクション-

2015年2月18日発売の工藤静香ベスト収録の「単・純・愛vs本当の嘘」。
まずは歌詞をご覧ください。

これについて、「よく分からないから失敗作、駄作」とSNS上で発言する人が多数いて、挙句の果てに

工藤静香だから、表現しきれてない」とか物凄い言いよう。まぁ、私も、今の私生活充実なしーちゃんには「NIGHT WING」がイマイチ歌いきれてない、とか勝手な事言ってますよ(苦笑)。でも、今回の強気な態度は、まさにみゆきクオリティーで、提供者なら工藤静香しか歌えないレベルの楽曲だと思います。 みゆきさんの歌詞は、必ずしも「正解」が存在する訳ではありませんが、まったく分からないという方への道標になればと、ここに一つの解釈を提示してみます。

まず、単純(純粋)に愛を表明してしまったら、「あやまったり」「取り消したり」強要されるのはどんなケースか考えてみてください。ここから、世間的には許されない関係だと想像できますよね。

だからこそ「音たてずドアを閉め 石畳 素足」が、実際の密やかな関係や、その心象風景を表わしていると気付きます。2番の「頬紅を失くしたわ あのドアの中で」も同様。

次に、そこから、「バレちゃなんねぇ、この恋心」と頭に叩き込んで最初から読むと、相手を傷つけないよう「疑いの余地もなく」「さかのぼる闇もなく」嘘をつき通すことに理解が及ぶことでしょう。

そして、ずっとクールに“本当の嘘”を極める女性が、最後の最後にどんでん返しで「あなたへは、ただひとつの愛のために嘘を見ぬかれたい」がよりドラマティックになりますよね。

中島みゆき「愛情物語」(97年)あたりの“愛するがゆえに、おびき寄せて遠ざかる”という複雑さも参考にすれば、本作への理解もより深まるのではと思います。もし、またブツクサ言っている人がいたら(笑)、こんな調子で優しく教えてあげてはどうでしょうか。

・・なーんて、エラそうに言う私も10代の頃、「バス通り」(81年)をハッピーソングと思っていたんですから、とんだオメデタイ奴です。「二人一つの上着で駆け出していく」のが、主人公と彼氏だと思っていたという。あー、恥ずかし。。。。