T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

52・ぬるくても褒められたい(笑)

 先月、私が選曲やマーケティングに関わった企画CD『DRIVIN' J-POP for LOVE&JOY』が発売された。以前関わった『Eternal Ballads』は、諸般の都合で結局4割ほど自分の希望から差し替えられ気分的に消化不良となり、その反省から“人からなんと言われようが隠れ名曲を!”と我を貫いた『名曲発掘!ジュエル・バラッズ』は、ネットではそこそこ売れたが、世の中的には圧倒的に“よく分からないアルバム”として(前者よりは売れたものの)早々に廃盤となった。そういった経緯もあり、今回は“(許諾が下りる範囲で)人が聞いて喜んでくれそうなもの”をと、自分の好みよりも日々のマーケティング経験を優先した選曲を目指した。

DRIVIN’ J-POP for love&joy

DRIVIN’ J-POP for love&joy


 実際、実売でも5万枚が見えてきたし、買って下さった方も「最近よくあるような、ヒット曲を詰め込んだものじゃなくて、ドライブ向きに作られている」なんて口コミして下さっていて嬉しいのだが、(どなたか知りませんが有難うございます!)手放しで喜べない状態がずっと続いている。


 それは、1位に『R35』、2位に『ラブリィ!』があり、これで4週連続、“オムニバスで3番手”という、いわば生ぬるい位置にいるのだ。いえ、『R35』と『ラブリィ!』は、共に自社のワーナー音源1曲だけで、他社のヒット曲を徹底的に集めたという点、ゆえに許諾の問題が分からない人でも売れた曲満載というのが明解な点が素晴らしい。(部外者である私が、レコード会社にこういう提案を持っていけないという点からも、大いに羨ましい。売上の上位なら社内で調べて出来ると言われるので。)なんかお仕事で一緒になる方も、「3位」という事に対して気を遣いながら「それは売れて良かったね・・・・」と言って下さるのだが、その「・・・・」から、「(まだ上があるけどね)」というニュアンスも同時に伝わってくるのだ(苦笑)。ちなみに、セルでは3位なのに、レンタルではそれらを抜いて1位に。・・・これまた素直に喜べない〜〜!!


 うーん、これに比べると遥かに売上の少ない復刻仕事の方が、もっと褒められていたような。しかも、紙ジャケの場合は、「1000枚売れて大したもの」という基準も救いとなったし。


 ・・・今回の慢性的な中ヒット感から、ふと河合奈保子を思いだした。彼女の場合は、7年間もヒットチャート上位にいながらも、「松田聖子」「中森明菜」の二大巨頭を前にして、アイドル研究家(プロ・アマを問わず)から諸手を挙げて賞賛されたことがなく、挙句の果てに“奈保子失敗論”まで語られる始末。アイドル嫌いの人からは全く聞く耳をもたれず、アイドルマニアからはその歌唱力は無駄だと言われ、今から考えたらそれだけ世間的には“需要なき供給”に位置していたのに、シングル・アルバムで何十作もヒットを重ねること自体、本当に凄いことだとあらためて思った。私なんて、4週間、つまり、たった0.08年(笑)その生ぬるい賞賛を受けることで、“褒められてるんだか、貶されてるんだか・・・”と、心中複雑なのに、彼女の場合はアイドル時代ずっとそんな評価をされていて、いったいどんな気分だったのだろうか。・・・なのに、私(根性がアマチュア←甘チュアとも(笑))のような僻目に満ちた発言を今も昔も一切見せないというプロ意識を思うと、その意味でも凄い人だと思う。


 ということで、今後は1位→20位→50位 というようにサイクロン型・首位強奪系の作品(しかも、イベントとか多種類CDの発売で)よりも、何週も中堅をキープしているというヒット作に注目していただければと思う。また、仕事やスポーツ、友人関係でも、瞬発的なベスト・プレイヤーでなくても、常に良い位置で頑張っている方々を労えるようになりたい、と思った。・・・いや、私は自分が褒められたいだけなのだ(爆)。