T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

124・“真/誠”まで嘘にしないで

 週末、ある食品メーカーの「大人気につき、一時販売停止」ニュースがTVや新聞、さらに伝播してネットに流れていた。私は、20代の頃、新宿に出向く度に、ちょっと時間があれば、謝礼の金券欲しさに、あるビルの上で行われる開発中の食品に関するマーケティング調査に何度か参加していた(今の仕事に興味を持つ前だから、決して何らかの違反はありません)。そして、その時に、今回ニュースを流した大手メーカーのラーメンも何回か食べたことがあり、1年前からこうしてしっかりと調査をしてから発売するなんて、商品開発ってすごいな〜、と感心した。私自身も、化学反応の計算機シミュレーションという基礎中の基礎のお仕事をしていたが、それがどのように商品化に繋がるかなんて考えも及ばず、単に論文を読んでいただけだったので、尚更に頭が下がった(ちなみに、基礎研究者の大半は、私のようなボンクラではなく、真理の探究に向けて今日も世界を変えようとされていますのでお間違えなく!)。

 だから、そのメーカーの商品が品切れとかって、正直とても信じられないし、一つ覚えでTwitterとかで口コミを盛り上げたいという話題づくりの為だけだったら、止めていただきたいなぁ〜と思った。だって、そのメーカーはジャニーズ系をはじめ、契約金が半端ない人気タレントをじゃんじゃん起用するお金もあるんだから。そんなチマチマしなくても、ドッシリ構えてTVマーケしてればいいやん、と。

 それにしても、“桃ラー”にしても“ザクリッチ”にしても、売り切れないように精一杯売るよりも、売り切れた方が(あるいは売り切れたように見せかけた方が)大きなニュースになり、他方そのヒット対策をしっかり打っていた人の方が、話題にならないなんて、ちょっと納得がいかない。

 あの韓国の人気グループKARAのデビューイベントだって、3分で中断なんてならぬように予定通り30分行えるように、しかるべき所で交通整理していれば、あんなオオゴトにならなかっただろうし、イベントに何も興味ない人々を立ち往生させた挙句、渋谷の街をわざとパニックにした迷惑者の方が大きなニュースになるなんて、これもなんだか確信めいていてイヤらしい。

 そもそも、記事獲得、ニュースリリースというのは、広告を打つ予算もないような弱小メーカーが、良いものを届けようと編集さんに足しげく通って、面白そうなネタを提供することから始まったはずで、私も2000年代の初めごろ、いくつかの中小レコード会社用に、嘘のない範囲で面白く書いてもらえるような切り口を一緒に考えたりもしていた。それが、今では、大手メーカーまで広告のオプショナルサービスの一貫としてそんなことを実施するので、弱小メーカーや注力されない商品は、無料で掲載されることも少なくなってきた。こちとら、リアルに初回枚数数百枚とかしか仕入れていただけなくて(苦笑)、時にそれがお客様のリアルな声から品切れしている、というリアルに切実な話をしても、「あ、またネタね〜。間に合ってま〜す」的な対応をされてしまいがち。

 世の中は情報の洪水かもしれないけれど、だからと言って、自分まで真実を受け流してしまうような人間になってはならないな、とあらためて思った。

 あなたにとって、卑怯と闘う同志でありたい、私は。(←ちょっと他の歌詞、引用しました〜。)