T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

325・山達スタッフGJ

OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜(通常盤)

山下達郎のベスト盤『OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜』が、年末滑り込みでオリコンの年間TOP10にランクインした。これについて、

・今年はベスト盤の当たり年
・実力あるベテランが再評価される
・3枚組(初回盤は4枚組)3980円でお買い得

などなど、あれこれ勝因が書かれているが、もし上記要因だけならば年間15位〜20位あたりでとどまったのではと私は読んでいる。以下、Sやんのデータで初回盤と通常盤の売上げを分けて週間推移を見てみよう。(Sやんは、ワーナーサイトなど特殊ルートが入っていないので、多少低めになっている。)


週数 初回盤 通常盤 合計 備考
1 263,774 1,700 265,474
2 77,059 5,953 83,012 Amazon初回盤高騰開始
3 30,803 9,896 40,699 レンタル開始で一時急減
4 22,569 8,643 31,212 返り咲き1位報道で粘り
5 16,389 5,444 21,833 初回盤、意外と切れず
6 10,295 4,893 15,188
7 6,726 3,492 10,218
8 4,780 2,977 7,757
9 6,011 5,198 11,209 通常盤、クリスマス仕様発売
10 4,794 4,366 9,160
11 2,895 3,572 6,467

ここでは、さらに2つの戦略的な勝因を追加したい。まず、初回盤が品切れしなかったこと。今回は初回盤に「硝子の少年」のデモトラックが収録されるというお宝感を煽って(しかもお値段据え置き!)、発売当初は初回盤が圧倒的に売れ、発売2週目にはAmazonで価格高騰するなど、一部の人気店で初回盤が品切れしていた。しかし、その後も完全に売切れることなく、(一旦、品切れたお店もその後補充されていた)、初回盤がずっと買える状態にある。しかも、(DVD付ではない為)リアルショップのどこでも同価格というのも広く売れた要因だろう。

そして、もう一つ。通常盤のクリスマス仕様が、年間チャート集計終了の3週間前に発売された。これにより、通常盤売上が1万枚以上売り伸びていることがわかる。松任谷由実の40周年ベストと同週に発売されたことも大きく拍車をかけたはず。(ゆえに初回盤も前週より微増している。)

ということで、これは販促的な仕掛けも大いに売上げに貢献したと思うのだ。(ちなみに、11位の安室ちゃんとの差は1303枚。この2つの施策が無ければ、年間TOP10という歴史に残らなかったのは必至。)考えてみれば、9年前『レアリティーズ』というアルバムが余りにダブついていた時に、突然、発売の2か月後に購入者対象にお年玉付きキャンペーンとかやっていたのも思い出した。山達チームは、やる時はやるのだ。無論、これが悪いと言っているのではない。良いものを作るだけじゃなく、良いものを多くの人に届けようとする縁の下の力持ちは沢山いるのだ、ということを知ってもらえれば嬉しい。こういうのが見えるのも品番別チャートならでは。