T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

173・「未完成」は完成するのか

 ここ最近、女性アイドル・グループが人気だ。(というかK-POP男女にせよ、男性アイドルにせよ人海戦術で、握手会イベントなり、複数種発売なりで数が稼げるとチャート的に上位になる→メディアに出やすくなる、という図式が確立したというべきか。)私の場合、女性ボーカルものはもう歴々と大好物なので(笑)、そこから名曲が出てくるのは、良い事はあれども、悪い事はないはずなのだ。(しいて例外を言えば、自分の気に入ったソロ楽曲が、人海戦術系の(笑)楽曲(というかCD)よりも売れずに、陽の目を見る機会が多少減る、ということくらいだろうか。)

 そして、そのファンの方や、応援しているメディアの人の話を伺うと、大抵「アイドルは未完成だからこそ良いのだ」と言うのだ。実際、どんどん洗練されていったアイドル曲の方が好きなのに、どんどんセールスを落としていったのを70年代以来ずっと目の当たりにしているので、その部分も、よくよく分かるのだ。(この辺りのジレンマについては、ここ を参照下さい)。

 それにも関わらず、ずっと引っかかっているのが、「その未完成な歌唱は、いつか完成するのか??」ということだ。例えば、近年の作家が「80年代って歌が下手で、ガタガタに聞こえますよね(この80年代って、という一括りも相当に腹が立つのだが、まぁそれは置いといて)」って冷めた目で言う時に、必ずと言っていいほど松本伊代が例に出されるんだけど、確かに1年目あたりはそうかもしれないけど、5作目の「抱きしめたい」以降の、彼女の切々とした感情のこめ方は、「歌が下手」の一言では片づけられないものがあり、彼女は彼女なりに表現者に育っていったと感じている。だからこそ、そんな楽曲が支持され何度もリベンジを果たし、一つの完成形に近づいたのだろう。

 他方、現在のアイドルたちは、レコーディングで綺麗に補正されていて、しかも、その上で口をパクパクさせていれば、その“ガタガタ”が見えづらいし、口パク率を下げたとしても、ハードに踊り続ける方面やMCのボケ方が上手くなるばかりで正直物足りない。私は、ソロ・パートのボーカルで「おぉっ?」と言わせる子が出ないものか、と今か今かとずっと期待しているのだ中森明菜岩崎宏美安室奈美恵級の凛然としたボーカリスト・・・とまで高望みはしないけど、せめて桑田靖子岡本舞子伊藤智恵理北岡夢子姫乃樹リカ西田ひかる級の、そこそこ聞かせるボーカリストが出てきて欲しいと願い。(ハロプロの人たちは、全体に及第点の歌唱力があるんだけど、彼女たちは、良くも悪くもいわゆる“つんく節”で完結しているので、それ以外を望む気はない。ハロプロは、歌・踊り・トークなど全体のバランスで成立している文化だろうし。)

 いや、そもそも現代のアイドルに歌唱力を求めるなんてナンセンスで、はなから女性ソロのシンガーソングライターを応援すればいいじゃんって言われるかもしれないけど(笑)、これだけシーンが隆盛していて、多くの人を引き込む力がある分野に、自分が好きな名曲、名歌手が生まれづらい、というのが、ちょっと疎外感ありまくりなのです。女性アイドルに目がないと思われているのに、歌声で感銘できる女性アイドルが現代にいないこのジレンマ、分かっていただけますか!!(泣笑)

 ということで、もし、現代で“アイドル”というレッテルが足かせになっている実力派シンガーをご存知でしたら、ぜひぜひご紹介ください。記事にするよう、あれこれ努力しますので♪それだけ渇望しています!