385・千里眼から慧眼へ
今から10年ほど前、かつて私は人から紹介される際、
「(ヒットチャートやアーティストのプロフィールについて)彼は千里眼だから色々聞いてみると良いよ」
とよく言われた。勿論、実際はすべてを知っているはずがなく、試しに自分でランダムに問題を出してみても覚えていないことのほうが遥かに多かった。
なのに、業界内の人が尋ねてくることに限っては、なぜかそこだけ覚えている内容だということが多く、それをスラスラと答えることで、その方から次の仕事、次の仕事を紹介されどんどん繋がって、独立する後押しになった。本当、この偶然は、今から考えても不思議〜。
あれから10年。(←綾小路きみまろか?)
ふと振り返ってみたら「千里眼」とはすっかり言われなくなった(苦笑)。まぁ、実際、記憶の抜け落ちは多いし、また私などに尋ねなくてもWikipediaやNAVERまとめを見れば分かることも多く、その点ではすっかり用無しになったんだと思う。
その代わり。 「慧眼」、あるいは「視点が鋭い」と言われることが増えてきた。無論、相変わらず連載や特集記事について、どこかの匿名掲示板に晒され、「こんなの誰でも書ける」と言われることもあるが、とりあえず対面では、相手が深く感心し言ってくださることが多くなったので、あぁやっぱり、こういう生き方、存在の仕方も許されるのだなぁと嬉しくなる。
まぁ、情報を右から左に動かす人が多い中で、右に流れてきたものを単に上から見つめているだけのような気もするが(笑)、人と同じことをするのが苦手な人には、案外オススメで生きる指針が見つかるかもしれない。但し、別の視点を新たに作るというのは決して楽ではないし、人は見たことがないものに対して驚異を感じそれゆえ批判もされうるし、覚悟も必要だけれど。でも、楽じゃなくても、楽しいことはあるのだ。
ジャケットは、そんな私を後押ししてくれる「鷹の歌」収録の中島みゆき『真夜中の動物園』。私、みゆきさんは決してラクな生き方ばかり選んでいるとはとても思えないけどなぁ。謙遜が過ぎる(笑)。