T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

406・片想いは既に実現50%

荒野より

前に、自分が連載や講演、更には店頭で買われやすいタイプのコンピ盤を企画するなどでこちらはCDショップをプッシュしているのに、どうして自分がしてきた仕事をショップ側はさほど応援してくれないんだろう?とホザいてしまったが(苦笑)、こういう風な不公平感はままにある。いや、今は「ままにあった」だが。

それは、他のフリーランスの方が関わった作品を自分のレギュラー枠で積極的に紹介しているのに、先方が持つレギュラー枠でのこちらの作品の紹介はさほどないなぁ・・・と感じていたことだ。私のような個人事業主は、クライアントから時間的経済的に無茶ぶりされることも少なくないし、かといって労働組合に守られている訳でもない。だからせめて、個人事業主どうし、足を引っ張り合うのではなく、お互いの仕事が円滑に進むようにプラスの方向で応援する体制ができればという想いから、そのように動いている。けれど、意外と種をまいた割に、実りがないものだと感じていた。40代・50代ともなれば、多少自分が不本意でもぶっちゃけ私の作品を完成度が低いと感じたとしても(汗)、それをプッシュする権限や能力くらいはあるはずなのに・・・、とここでも「圧倒的に片想い!」という気分を募らせていた。

しかし。はたと気づいた。「この人を、このお店を、この作品をプッシュする」という行為は、自分が勝手に決めただけで、相手方から望まれたわけではないし、この応援体制が自分側から実現できた(つまり、同じ業界仲間を紹介できた、お店の紹介文が掲載された、作品のレビューを掲載できた等)時点で、自分の想いは50%も達成しているのだ。だから、そこで十分喜ぶべきで、あとの半分はいつか回りまわって自分の幸運に繋がればいいな、くらいに気軽に考えるべきなのだろうと思い直した。そう気付くと、前述の片想いの対象に対して、不安を感じることもかなりなくなった。また、相手が恩返ししようと思っていても、良い機会をにらんでいるという状態かもしれないし(現に私自身も、業界のある先輩に対しずっと考えている(苦笑))、また自分が勝手に動いたものをさほど効果がないと見限られたかもしれないし、その程度と思われた私の努力不足だったかもしれない。だから、謙虚に、前を向くしかないのだな〜とあらためて感じた。

 こんな考えのヒントになったのは、中島みゆき『荒野より』収録の「ギヴ・アンド・テイク」 を聞いたからかもしれない。

「君が受けとって“呉れる” ほら僕は“貰えている”」

見返りを求めず、この言葉が自然に聞けるようになるまで、まだまだ私は人間は止められそうにない(微笑)。