T2U音楽研究所~はてな置き場(旧:私を支える音楽と言葉)

T2U音楽研究所/臼井孝のはてな版です。

459・さよならを言えるまで

engagement

河合奈保子の歌入りでの最新アルバム『エンゲージメント』(1993年11月21日発売)収録の1曲。既に、アイドル期を中心としたヒット時代を大きく離れたこともあり注目されていないが、このアルバム、彼女の中で最も感情の機微が現れつつ、キャッチコピー的なサビのフレーズ等に引っ張られることなく自然な流れで綴られたものが多い点が好き。ボーカルもアレンジも行き過ぎたものがなく、女性の方にとても聴きやすそうだ。

その中で最も繊細に描かれているのが3曲目の「さよならを言えるまで」。簡単に言ってしまえば、テーマは“道ならぬ恋”だが、愛していた人の街を訪ねるというやるせない状況がリアルに描かれているのが見事。(手元にCDや音源が無い方は、本作を取り上げておられるn_twilightさんのブログ
をどうぞ。歌詞よりも詳しい“歌詞の要約”が興味深いです!

奈保子さんの歌の中でも、もしかすると一番切ないかもしれないのだが、それでも悲しくなりすぎないのは、西平彰による穏やかなアレンジ、そしてやっぱり奈保子さんの歌声に救いがあるからだろう。もし、報われない感情に陥ってしまった時、試しに聴いてみれば自分なりの答が見つかるのかも。

ちなみに、現在私が一部監修している大手ダウンロードサイトで、あるテーマに沿って、他者なら絶対に選ばないこの曲もどさくさに紛れておいてみたら、テーマの良さやネット購入の特性(人に見られず買える)からか、結構な売上げをたたき出した。やはり、曲を知らなくても「さよならを言えるまで」悩んでいてクリックした人が多いのかな〜。そう考えると、このタイトルは秀逸。しかも、この曲経由で『エンゲージメント』をアルバムダウンロードまでしている人、ついでに『ビューティフル・デイ』のダウンロード購入まで見られた(確かに、『ビューティフル・デイ』の単独CDが出ていないから、BOXを持っていない人が気づいて買ったのかも。)

しかし、それ以上に購入数が多かったのは「スマイル・フォー・ミー」で、そのページに表示されていなくても、

河合奈保子!あぁ、懐かしい、確か「スマイル・フォーミー」ってあったよな〜(→ここで検索)。あっ、あったあった、買っとこう(ポチ)”

みたいな人が世の中には一番多いんだなと、あらためて実感した。ごく普通の人の彼女の代表作はやはり「エスカレーション」ではなく、「スマイル・フォー・ミー」のようだ。

ともあれ、ダウンロード系の仕事はダイレクトに売上げに繋がって、各アーティストへの自分の貢献度が分かりとっても励みになり、連載執筆とはまた異なる喜びがある。本アルバムは、20年以上経った今聴いても耳が全く疲れないので、よかったらどうぞ♪